今こそ官民連携で日本を守ろう 
――「能動的サイバー防御」を具申した理由

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(読了約4分)

まず初めに、今回の事案により多大なるご迷惑とご心配をおかけしているお客様、関係者の皆様、そして社会の皆様に対し、心より深くお詫び申し上げます。

政府関係機関やNCO(国家サイバー統括室)の皆様が、事態の重大性を踏まえて分析や対応の検討を進めてくださっていることに対し、深く敬意と感謝を表します。

私たちグループが提供するサービスにおいてセキュリティ上の課題が生じ、お客様の大切な資産と情報を危険に晒す事態を招いてしまった事実を、グループトップとして極めて重く受け止めております。

ネット上や報道を通じ、厳しいご叱責や切実なご不安の声をすべて拝見しております。「一律5,000円のお見舞金で幕引きにするつもりか」というご懸念もいただきました。

決してそうではありません。一律5,000円のお見舞金は、ご不便とご心配をおかけしたお客様に対する初動の誠意の印です。

本件不正アクセスに起因する不正取引により生じた損失につきましては、GMOインターネット株式会社(以下、当社)が確認したうえで補償いたします。取引所等が返金に応じない場合も、対象となる損失の全額を当社がお支払いいたします。

代替環境の6ヶ月間無償提供、システム基盤の抜本的刷新、そして外部専門家を交えた徹底的な原因究明と再発防止に、グループの総力を挙げて最優先で取り組んでまいります(※会社としての具体的なお手続きや財務への影響につきましては、見通しが立ち次第、適時適切にお知らせいたします)。

■ どうしても、お伝えしたいこと
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その上で、私が今、一人のインターネットの現場に生きる人間として、どうしてもお伝えしたいことがあります。

「今こそ官民連携で日本を、そしてインターネットを守ろう」

これが、偽らざる私の心からの叫びであり、気持ちです。

そしてその根底にあるのは、「いま、インターネットそのものが壊れかけている」という、極めて深刻な現状認識です。

■ 壊れゆくインターネットと、直面している危機
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インターネット産業の黎明期からこの世界に身を投じて31年。人々に笑顔を届けると信じて仲間たちと築いてきたサイバー空間が、今、悪意ある者たちによって根底から破壊されようとしています。

背景にあるのは、AI技術の爆発的な進化と悪用です。

オープンウェイトのAIモデルが容易に組み合わされ、無数の攻撃ツールへと拡散したことで、かつては高度な技術を要したサイバー攻撃が、誰でも容易に実行できる時代へと一変してしまいました。

実際、当グループのGMOサイバーセキュリティ byイエラエの調査では、日本企業約20社を狙った不正アクセスの攻撃元で、本来は防御のための自律型AI侵入テストツール「ARTEX(アルテックス)」が悪用されていたことを確認しています。

簡単な指示だけでAIが弱点を探し、侵入まで自走する――そういう時代にすでに入っているのです。

攻撃者のコストは劇的に下がり、この1年余りで脅威はかつてないスピードで深刻化しています。これはもはや、AIが生み出す無数の攻撃が防御側の対応能力を圧倒する「AIのサイバー飽和攻撃」とも呼ぶべき事態です。

■ 今回の攻撃が、突きつけたもの
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今回の私たちへの攻撃は、まさにその象徴です。

影響の範囲: 対象となり得るサーバーは26,739件、国内外70社以上の証券会社・FX事業者等に開設されたお客様の取引口座に対する不正操作の継続

卑劣を極める脅迫:

「お客様の口座に対する不正な取引操作の継続」

「接続されたお客様のPC内の情報に関する不正公開およびランサムウェア攻撃」

「当社システムや運用体制等に関する内部情報の外部不正公開」

「FX取引のVPSだから重要インフラではない」というご意見もあります。しかし、これは単なる一部サービスの障害ではありません。国内外70社以上の金融基盤に接続する環境が標的となり、国民の金融資産、そして個人のパソコン内の生活データまでが人質に取られているという現実です。

これを「民間の一事案」として見過ごせば、次はあらゆる社会基盤や個人資産が、同様の手口で脅かされることになります。

■ あなたの端末が無傷でも、生活は止まる
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多くの方は、サイバー危機を「自分のスマホやPCがハッキングされること」だと考えておられるかもしれません。しかし、本当の惨事は、ご自身の端末が無傷のままでも起こり得ます。

スーパーでクレジットカードが使えず、ATMが止まり、病院では電子カルテが開けず診療も手術も止まる――そんな一日を想像してみてください。

あなたがハッキングされる必要はありません。あなたが依存しているシステムが止まるだけで、生活そのものが止まってしまうのです。そのとき、ポケットの中のスマホは、ただの高価な懐中電灯に変わります。

これは空想ではありません。最近も、PHPの重大な脆弱性がAIによって瞬く間に悪用され、自動化された攻撃試行は数時間で数百万件に達しました。多くのサイトが自らを守るために、意図的にサービスを止めざるを得ませんでした。攻撃者はもはや個別の標的ではなく、インターネット全体に襲いかかっているのです。

■ 二つの「ではない」を、私たちは完全に理解している
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昨日、私たちが政府へ「能動的サイバー防御の適用」を具申したことに対し、メディアや有識者の方々から様々なご指摘をいただきました。

防衛上の機密や抑止力の観点から、政府がすべてを明らかにできない立場にあることは、十分に理解しております。

世間で指摘されているのは、次の「二つの『ではない』」です。

①「GMOは、法が定める『特定社会基盤事業者』ではない」

②「能動的サイバー防御は、民間企業から言われて動くものではない。政府が主体的に決めるものだ」

私は、この二つの法的な位置付けを深く理解した上で具申いたしました。

たしかに私たちは、法律が想定する電力やガスのような従来のインフラ事業者ではありません。しかし、国民の大切な資産とデータが国境を越えた脅威に晒されている今、形式的な事業者区分にとどまらず、実質的な国民生活への影響に照らして適用可能性を検討していただきたいのです。

そして、私たちは決して自社の責任を国に転嫁し、救済を懇願しているわけではありません。

「10月1日に施行されたばかりの能動的サイバー防御法を、国民の財産を守るための血の通った生きた制度として機能させる、極めて重要な契機が今ここにある」と考えております。

■ なぜ、防げなかったのか――経営としての反省
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私は31年前の創業以来、「インターネットは人々を笑顔にするためのものだ」と信じ、事業を続けてまいりました。

しかし、現実はあまりにも厳しく、今やインターネットは悪意ある者たちが人々を脅かし、略奪するための道具へと変貌しつつあります。

「この壊れかけた空間を、次の子供たちの世代へこのまま引き継ぐわけにはいかない」――その強い危機感から、私は5年前にイエラエセキュリティ社と出会い、グループとして本格的にサイバーセキュリティ事業への参入を決断いたしました。

それだけに、「グループ内に国内屈指のセキュリティのプロを擁しながら、なぜ今回の事態を防げなかったのか」という皆様からの厳しいご叱責は、痛いほど胸に突き刺さっております。

言い訳ではなく、事実としてお話しいたします。

本サービスのセキュリティに関しても、社内のホワイトハッカーから改善すべき課題が事前に現場へ指摘されておりました。現場チームもその指摘を受け止め、対策を進めておりました。

しかし、サービスの可⽤性への影響や他の対処事項との優先順位を考慮しながら慎重に対応を進めた結果としてその対応の深度とスピードが十分ではなく、攻撃者にその間隙を突かれてしまいました。プロを抱えながら、その知見を組織として完璧に防御へ昇華しきれなかったことを、私は深く反省しております。

誰よりも深い悔しさを噛み締めているのは、危険を察知し警告を発していた現場のホワイトハッカーたち自身であり、防ぎきれなかった技術陣です。

■ 民間の総力を挙げ、国と連携して立ち向かう
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だからこそ今、 GMOサイバーセキュリティ byイエラエやGMO Flatt Security をはじめとする200名の精鋭たちは、専門家としての誇りと意地をかけ、自ら決起し、お客様に安心してご利用いただける状況とできるよう、全力で取り組んでいます。

私たちは、単に国へ対応をお願いしているのではなく、民間の側で持てる力をすべて注ぎ込み、捜査と防御を前進させる布陣を敷いています。

①自社の責任と負担の完遂:
お客様への補償対応、代替環境の提供、システムの刷新等にかかる費用は、すべて自社の責任において引き受けます。「民間の負担を国に負わせる」ような意図は一切ありません。

②国内最大規模のホワイトハッカー集団:
ICPO(国際刑事警察機構)出身者を含む200名規模のセキュリティ人財が攻撃からの防御とログ解析に全精力を注いでいます。

③先端AIツールの活用:
高度なAI分析環境を活用し、膨大な脅威情報の整理と痕跡の特定を迅速に進めています。

④国際的な法的証拠保全:
裁判所を通じた開示請求の手続きに着手するなど、法令に基づき、攻撃者の足取りや通信ログの獲得に向けて具体的な行動を進めています。

自社の対策に及ばなかった点があったことは深く反省し、抜本的な改善を進めてまいります。

しかし、一番許されないのは、人々の財産とデータを脅迫の道具にするサイバー犯罪者です。

今、この犯罪集団の痕跡を追い、特定を進めるための情報が集まりつつあります。

必要なのは、「国境を越えて国民の財産を脅かすサイバー犯罪を断固として許さない」という、国の毅然とした方針と、法に基づく実効的な連携です。

■ 社会人人生の全てを賭け、公に資する覚悟
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この難局に向き合うにあたり、私は社会人人生の全てを賭ける覚悟です。

高度なサイバー犯罪集団と正面から対峙する以上、どれほど困難で険しい道が待ち受けていようとも、私たちは決して責任から逃げません。

・私たちが直面した痛みを、日本のサイバー環境が真に強くなるための糧にする

・「日本はサイバー攻撃に対し、官民が連携して厳正に対処する国だ」という確固たる姿勢を世界に示す

・官僚の皆様、警察、自衛隊の皆様と共に、国民を守るための「実効的な官民連携のモデルケース」を築き上げる

これが、私の覚悟です。

■ 日本を守るために、共に立ち上がってください
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・インターネットに携わる仲間たち、技術者、経済界の皆様、そして国民の皆様。

この事態を、どうか「対岸の火事」「一企業のトラブル」として終わらせないでください。

いま実効的な防衛体制を確立できなければ、次は皆様の預金口座が、企業の基幹システムが、個人の大切なプライバシーが、見えない攻撃者によるAIのサイバー飽和攻撃に脅かされることになります。法に真の命を吹き込むのは、条文の形式ではなく、現場で国民を守ろうとする覚悟と官民の結束です。

・政府関係機関、実務官僚の皆様。

私たちは一切逃げ隠れいたしません。全人財の知見を結集し、法令に基づき、保有するすべての証拠とログを速やかに提出し、全面協力いたします。国民の財産と、日本のサイバー空間の未来を守るために、どうか共に力を合わせてください。

今こそ官民連携で、日本を守りましょう。

GMOインターネットグループ代表
熊谷 正寿

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